取材旅行の楽しみは絵の取材であることは当然ですが、観光地を巡って美しい風景を見たりご当地の名物を食べたり温泉に浸かったりと色々あります。
旅館やホテル、車中泊、日帰り、たまには電車、自転車でも取材に行きます。
天候不順で諦めることも多々ありますがこればかりは仕方ない。そのため天気予報とにらめっこしては臨機応変に予定を変えたりします。
しかし極まれに下調べが上手く行かなくて断念することもあります。
紀伊半島南部の山中にある「百間山(ひゃっけんざん)」取材もその一つでした。
南紀白浜から山の中に入っていくので私の家からは凄く遠いところです。道も細いです。
滝もあり山の上からの夕日は和歌山県の夕日百選にも選ばれているそうで期待が高まります。
2012年4月に妻と二人で行きました。
気になっていたことがあったので地元の役所に道が大丈夫かどうか電話で聞きましたら問題無いとの事だったので山道を車で行きました。
ところが・・・途中で道に倒木があるなど荒れまくっていました。
気になっていたことが的中しました。
2011年9月の台風12号が紀伊半島に被害をもたらしていたのです。
7か月経っていたし役所が大丈夫と言うからには行けるんだろうぐらいに思っていたらやっぱり駄目でした。
現場は谷なのですが土砂に埋まっていてショベルカーがたくさん動いていました。
凄まじい台風の破壊力に呆然。谷がえぐれて原型を留めていません。
地元で被害に遭われた方々に対して一刻も早い普及を祈りつつ撤退しました。
帰る道すがら窓を開けてくねる山道を走っているとカーブに差し掛かったところで水の音が・・・。
滝だ、と直感しました。
車を降りて崖を下りますと上から妻が心配そうに覗き込んでいるのが分かります。結構な崖です。
こうなると好奇心が止まりません。
慎重に降りると苔でヌルヌルしていて歩きづらいものの遠くに滝が見えるでは無いですか。
私は行ける限り滝に近づきます。この構図を絵にすることにしました。
結構な落差の立派な滝が見えました。
これだけの規模なので本当は名前があるはず。どなたか分かる方がいらっしゃったらコメント欄で教えてください。
水は透明で水量も多い。
百間山はダメだったけどこれは嬉しい天からのプレゼントです。
写真を撮ってから慎重に崖を登って無事帰路につきました。
妻が不安そうでした。ごめんなさい。
その後、滝の下流の河原に二人で降り立ちました。熊野川の源流です。
山桜が咲いています。これもいずれは絵にしたいと思います。
こちらは広々としていて清らかな渓流の水を間近で見ることが出来ました。
5月から描いていた絵が終る頃から描き始めて秋に完成しました。
あの滝のある場所は今も分かりません。だからタイトルもそのままです。
タイトル 『名も無き滝』
2012年制作 F20号(727×530) 油彩 キャンバス
5人展出展
取材に行くと目的には出会えない事があっても何かしら得るものがあります。
それが観光名所では無くて何の変哲もない場所だったりすることが多いのです。
新しい発見。
それも旅の醍醐味なのです。
今回は名所の絵ではありませんがそれもまた良いですね。
※現地に観光に行かれる場合は最新の情報をお調べください。
当ブログで紹介している油彩風景画のショップ『ギャラリー美風景』です↓
バナーをクリックするとショップに移動します↑
いよいよ日曜日から大分旅行です。次回投稿は旅行後になるので少し間隔が空きます。ご了承ください。
コメント