2011年10月に広島県「鞆の浦(とものうら)港」と大分県「由布川(ゆふがわ)渓谷」に絵の取材旅行をした時のお話です。
鞆の浦は路地の狭い古めかしい港町です。いえ、これは最大級の誉め言葉なのです。
観光名所なんでしょうけどちょっと違う。何が?と聞かれても答えづらい。あえて言うならノスタルジー溢れる港町かな?
それはそこかしこに転がってます。
魚を運ぶコンベアーだったり、魚のニオイが染みついているであろう木製の台車だったり開け放たれたドアから見える漁船だったり・・・。
港町に生まれたのではない私にとってそれはとても魅力的に映ります。
私が思う「瀬戸内の港らしさ」と言うのも散見します。
岸壁が緩やかな階段状になっています。「雁木(がんぎ)」と言うらしいです。
普通は鋭角に落ち込んでいる岸壁か緩やかなスロープかのどちらかですが、この形は昔、尾道の海沿いの町でも見ました。(現在は建物は壊されて無い)
この階段状の雁木と船を板で渡して行き来しています。
もう一つは船の形です。
小型の屋根付きの船が多いです。小さな釣り渡船や釣り専用の船では良くある形かも知れませんが、岡山の下津井にもこんな屋根付きの船が多かったので私には「瀬戸内形式」に見えてしまいます。(これも勝手にそう思っているだけです)
雁木や上の写真の遠方に見える常夜灯などが残っていることからもいかにこの港町が歴史のあるものかが伺えます。
町中は少しお土産店なども並んでいて「観光地」な感じはします。
「保命酒」と言う薬用酒を手掛けていた「太田家住宅」です。江戸時代創業で重要文化財に指定されています。
細い路地の一角から絵を描く人を見つけました。
「絵を描く人」が「絵になる」不思議。
日没近くなってきたので港へと急ぎます。
何やら港からハーモニカの音がしてくると思ったら、おっちゃんが吹いていました。ギターも弾くのでしょうね。港とハーモニカが良く似合う。
お目当ての常夜灯が見えてきました。この港のシンボルです。下津井港にもありましたがこちらはとても大きいです。
宮崎駿さんが社員旅行で訪れて気に入り、長期滞在してあの「崖の上のポニョ」のモデル地にしたようです。ご本人はロケ地と名乗っていません。観光客が狭い港町に押しかけるのを嫌がったようです。それぐらい路地は狭いですのでもし訪れる時は車に気を付けたいです。
私が鞆の浦を訪れたは二回目で、一回目は本当に観光目的で「水仙島」が見える「対潮楼」に行ったりしていましたがここでは割愛します。
お隣の尾道が様変わりしてしまって残念に思っているので余計に鞆の浦の良さが分かります。また行きたい場所の一つです。
さて夕闇が迫ります。
これから常夜灯に火が灯りますが明るいうちにスケッチをしました。お隣におばちゃんが並んでスケッチしていました。
後年サムホールサイズの小さな絵にしました。
作品名 『鞆の浦暮色』
2020年制作 サムホールサイズ(227×158) 油彩 キャンバス
次回はこの続きで訪れた大分県の由布川渓谷のお話です。
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